すべての1ミリに全力で愛をこめること [制作中]
先日、審美眼に信頼を寄せている友人のデザイナーさんから、ある作品のダメ出しを受けました。
「よくないですねえ。心もこもっていないように見えますし」と。確かに、気分良く調子に乗って作ってしまっていたのが、彼にはすべてお見通しのようでした。逆に四苦八苦してやっと少し形になってきた制作途中のものを見せると、「これはいいですね 」と。
そして今日、「楽しく気分良く作るのは駄目なんだろうか」と悶々とアトリエでやすりがけ作業をしていたら、何が彼にそう思わせたのか徐々に見えてきました。 例えば ドとレの間に無限の音階が存在するように、何もないと見えるところにも必然的な凹凸が無限にあって、でも私は深く考えずドとレのような目立つ部分しか意識していなかったと。最近、女性の足を作っていたのですが、膝とふくらはぎの間には筋肉でなだらかにつながった部分があり、そこをアリンコのようなミクロの目でこだわって作り込むことこそが大事なのだと、今更ながら目が覚めました。
そしてそれは、作品を全力で愛して作ることにほかならず、ある一部分の1ミリを作ったら、その隣の1ミリ、さらにその隣の1ミリ、そうしてすべての1ミリを全力で愛してあげて初めて、いい作品が生まれるのだと。同時に、愛のない1ミリが全てを台無しにしてしまう恐ろしさにも気が付きました。
そして、その愛ある1ミリのすべてがうまくつながると、単なる粘土が突然筋肉になり、爪になり、肌になり、命を持ち始めて、それはそれは魔法のような素敵な瞬間だったりします。 四苦八苦した作品は、削りすぎては粘土を足してということを何度も繰り返すうちに、手探りでそこかしこに愛がふり積もっていったのかもしれません。
たぶんこれがきっと、「趣味で作る」ことと「プロの仕事」との違いなのでしょうね。ものを作る人なら誰でも意識しているようなことに気が付くのがだいぶ遅れてしまいましたが、その分をこれから作る作品で取り戻していこうと思います。
…そんなことをぐるぐると考えながら、最近は顔や手や足などのパーツを作っています。一番手前のものが、膝下がようやく形になってきた「肥えた婦人の足」です。今まで当たり前のように作ってきた人間の形の比率を変えたくて、形に組み上げるのはある程度数が揃ってからにするつもりです。
すべての1ミリに愛をこめて。
銀粘土を試してみました & グループ展に参加します [制作中]
これまで毛糸や布、スパンコール、スポンジなどを試してきたのですが、
荒々しい感じの金属と合わせたくなって、とうとう銀の彫金に手を出してみました。
早速、家庭用コンロで焼いて作れる銀粘土キットを購入。
粘土作業はちょっとは慣れてるしと軽い気持ちで始めたのですが、
銀が練り混まれた粘土で形を作ろうすると、
手にベトベトくっ付いてしまって難しいこと!
しかも乾燥が早くてこねているそばからヒビが入ります。
石膏粘土と違って、たった10gほどで2千円ほどするので、
手に付いたこの粘土でいくら!?と貧乏性の私は気が気じゃありません。
形を作ったら、少しヤスリで整えて、網に載せてコンロで焼成。
コンロに張り付いていると熱い!暑い!!作品も真っ赤になっていました。
そして冷ましてステンレスのブラシで磨くと出来上がり。
最近作っているパーツ的な石膏粘土の作品と組み合わせて撮ってみました。
繋げたりくっつけたりして色んな可能性を試してみようと思います。
不揃いだったりガタガタしているのが味になって、銀は面白い!
扱いが難しいしコストも高くつきますが、ちょっとハマりそうです。
ちなみに今ハンダを溶かして作る金属にもハマっています。
さて、6月と7月にグループ展に参加させていただくことになりました♪
一つ目は、『FLOWER DROPS 2011』というタイトルの展示で、
外苑前のスペースユイというギャラリーにて、6月23日(木)~7月2日(土)。
「毎日、日ごとにチョイスした良質なアロマテラピーの香りを空間にくゆらせ、
震災で疲労した人々の気持ちを温め、緩やかにして差し上げられる作品を展示する」
という素敵な趣向の企画展です。
二つ目は、『老若男女世界文学選集vol.4 「”西瓜糖の日々”を描く」』という展示で、
外苑前のGALLERY DAZZLEにて、7月12日(火)〜7月24日(日)。
『西瓜糖の日々』という書籍のイメージで制作した作品を、
デザイナーさんが装幀してくださるという企画展です。
最近実験的に作っているあやしげなシリーズ中心に展開していこうと思っています。
詳細は追って掲載しますが、ぜひあやしい国の住人たちに会いに来てくださいね♪
一体に顔を描いたらこうなりました。 [制作中]
これまでの女性らしい作品を気に入ってくださった方には
少し嫌悪感を感じられてしまうかもしれないのですが、
自分ではかなり好きな感じです。
これからもっと着色するか、髪をつけるかは未定ですが。
もう最近は、その性別も年齢もどうでもよくなってきて、
「存在である」ということが私には重要になってきました。
もう人間ですらなくなりそうな勢いです。
当分キレイに作る作品はお休みです。
でも濃い化粧は私にとっていつだって大事なことなのです。
私はナチュラルメイクという言葉が大嫌いです。
「化粧をしていないように見える」というのは究極の不自然だと思うのです。
例えばゲイの人たちが「こうみてほしい」と派手に飾りたてるのは、
気持ちが素直に表れていて
こんなにナチュラルなことはないと思うのです!
私にとっての「ナチュラルメイク」とは、
自分の好きなように思いのままに彩った顔です。
制作&ブログを再開しました! [制作中]
半年間のフルタイムのアルバイトも終わったので、
更新をのんびり再開していこうと思います!
土日や夜間に制作を少しずつ続けていたとはいえ、
半年間制作から離れていたというのは
大きなブランクになってしまいました。
机の前に座っても手が動かずイメージも湧かず、
あせりばかりが募る…
そんな状態が一ヶ月も続いたのですが、
恩師の先生がアドバイスをくださったり、
アトリエの大幅な模様がえをしたこともあって、
ようやく制作スイッチが入りました!
ブランクってやっぱり恐ろしい。。
やはりいつ何時も制作のことを頭に入れて生活することが、
シングルタスクな私には必要なようです。
ということで最近は、
360度完璧に削るという今までのスタイルに堅苦しさを感じていたので、
子供の粘土遊びのように適当に形をつくって
荒い形状を残しつつも顔だけはきっちりと作る、
ということを試みています。
↓こんな大雑把な形です。顔は鉛筆でアタリをつけています。
顔も体もこれまでは左右対称のバランスで作っていたのですが、
これからは粘土で自然に出来た形を生かして非対称のまま。
灘本唯人さんが描くような、
デフォルメされた人間が大好きなのです!
そんなコンセプトで作った作品が一つ出来ました。
頭に角を付けたら「神話」な感じになってしまったので、
次の作品では頭に立方体や球など抽象的な形を付けてみようと思います。
もっともっと、どれだけ形から自由になれるか、挑戦中です!
そして自由な形を作るのはとても楽しい!!