ブログの乗り換えで集合知に圧倒される
長らく使ってきたこのso-netブログですが、スマホでみたときにエグすぎる広告(脂肪まみれのダイエット広告写真やエロ漫画の広告など)があまりにも多すぎるので、引っ越すことにしました。
ただ、たくさんあるサービスの中で、どれを選んでよいのか全く見当がつきませんでした。
先日、Facebookで「乗り換えにオススメのブログサービスがありましたら教えてください」と投稿してみたら、すぐに第一人者の方々から沢山の素晴らしいアドバイスをいただきました。
そのやりとりを見ていた色々な方から「参考になった」という嬉しいお言葉をいただきましたので、せっかくなのでこちらにも掲載しておこうと思います。
欲しいブログの条件
みなさんにご意見をいただく上での、私が求めるブログの条件はこちらでした。
・広告があまり出ない
・カテゴリ別の過去記事を辿りやすい
・更新方法が簡単でわかりやすい
・重く長い話をあげても違和感が無い読者層
こちらを投稿してレコメンドいただいたのは、下記のサービスです。
1.note
https://note.mu/
今回、推薦してくださった方が一番多かったサービスです。
・「マガジン機能」で、複数の投稿をカテゴリにまとめることができる
・もともと出版社的発想から始まっているので、コンテンツは有料であるという考えのもと有料化できる
・「こちらもおすすめ」という、集客導線あり
・クリエイターやアーティストなど、伝えたいことがある人向き
・誹謗中傷が起きにくいコミュニティの運営方針
・注目されれば、提携の出版社に紹介などのバックアップを受けられる可能性あり
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・難易度:低
・テンプレートデザイン:選択不可。サイドバーなし。
・エディター:太字、中央寄せなど可。色をつけたりの装飾や絵文字は不可。
・運営側の広告:なし
・スマホアプリからの更新:可
・独自ドメイン:不可
・管理費:無料
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こちらの方々が推薦してくださいました
・複業研究家の西村創一朗さん
・起業家のあやにーさん
・現代美術家の下田ひかりさん
・IT系PMの國分佑太さん
2.Ameba Ownd
https://www.amebaownd.com/discover
・シンプルでスタイリッシュなwebサイトやブログを無料で作れるサービス
・ブログ内でネットショップを簡単に開設したり、商用利用ができる
・既存の選択できるドメイン名を見ると、レストランや小売店をターゲットに考えている模様
・Facebookやinstagram、twitterなどのSNSと連携できる。
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・難易度:低
・テンプレートデザイン:テンプレ有。スマホから見てもくずれない。
・エディター:ある程度の編集可。htmlでの編集も可。
・運営側の広告:ページの上下に広告が入る(あまり目立たない)。有料プランにすると出ない
・スマホアプリからの更新:可
・独自ドメイン:無料で取得可
・管理費:無料
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こちらの方が推薦してくださいました
・肉のプロ、ニックさん
3.はてなブログPro
http://hatenablog.com/guide/pro
・はてなブログの有料版
・ある程度までカスタマイズしやすい
・はてなブックマーク(はてブ)をもらえて、検索順位をあげられる
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・難易度:中
・テンプレートデザイン:複数有
・エディター:見出しなどの装飾も可。htmlでの編集可。
・運営側の広告:無
・スマホアプリからの更新:可
・独自ドメイン:取得可
・管理費:有料(600円 /月(税込)〜)
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こちらの方が推薦してくださいました
・フリーランスライター/編集/フォトグラファーの筒井智子さん
4.WordPress
https://ja.wordpress.org/
・自分で自由にカスタマイズ可能
・HTML、CSSの知識が少なからず必要
・すべてを自分で管理しなければいけないが、使いこなせるようになれば、中長期的にはメリットが多い。
・「WordPress.com」「WordPress.org」の2種類があり、前者は無料ブログサービス版、後者はソフトウェア版
・プラグインを入れられる
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・難易度:高
・テンプレートデザイン:豊富な有料・無料のテンプレ多
・エディター:リッチなビジュアルモードとHTML編集モードの両方可
・運営側の広告:なし
・スマホアプリからの更新:可
・独自ドメイン:取得可
・管理費:レンタルサーバー代、独自ドメイン代
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こちらの方が推薦してくださいました
・イラストレーター伊藤尚子さん
・整骨院院長の村松剛さん
まずは一度やって見た方がよさそう
書きたいテーマが複数あり、それぞれの読者層が違うことが想定される場合は複数併用もあり、とも教えていただきましたが、超面倒くさがりの私には一つでないと管理できなさそうです。
こうして条件を揃えて考えてみると、私の場合は、エディターやテンプレートによる「読みやすさ」か、流入導線やPVなどの「どこに置くか」、という観点のどちらに重点を置くかがポイントになりそうです。
どれにするか決めあぐねている状態なので、まずは少し使ってみようと思います。もし気が付いた点が出てきたら、こちらの情報もアップデートいたします。
※こんな比較サイトもありました。
・あなたはどれを利用する?ホームページサービス比較
・無料ブログとWordPressどっちがいい?実在の2サイトを比較
どうやらもう少し人に甘えてもいいのかも!
しかし、「誰も何も反応してくれないかも」と思いながら質問を投稿してみて、まさかこんなにすぐに、しかもさまざまな第一人者の方からお返事をいただけるとは思いませんでした。
まさに、集合知が生まれる瞬間を見ました。
そしてこんなことも感じました。
人に思い切って助けを求めると、助けてもらえる
自分が助けてもらったことは、他の人の役にも立つ
最近、本当にありがたいことに色々助けていただいているのですが、これは今に始まったことではなく、あまりにも私にはできないことが多すぎて、周りの方に助けていただき続けている人生です。
(たまに「そんな謙遜を」とおっしゃる方がいるのですが、仕事はいつも長続きしませんでしたし、他人とコミュニケーション齟齬をしょっちゅうやらかして本当に困り続けているので、残念ながら全く謙遜ではありません…)
そう考えると、ADHDやアダルトチルドレンのポンコツキャラの人は、「人から助けていただける能力」を持っているとポジティブに考えてみることができるのかもしれません。もちろんそれには、真剣に生きているということが必須ですが。
これまで、「迷惑ばかりかけて本当に申し訳ない」と縮こまっては、「全部自分でやらねば」とやって結局周りに迷惑をかけることを繰り返してきましたが、もう少し周りの方に甘えてみようかなと思います。
教えてくださったみなさま、本当にありがとうございました。そして、こちらの記事が、私と同じようにブログの乗り換えやブログ開設を考えていらっしゃる方の参考になりましたら、幸いです。
人脈の「作り方」を古川享コーチに教わる [ADHD]
先日のお誕生パーティでコミュ障を発揮してズタボロになって帰った私をみかねて、一昨日、
「パーティの中でスイスイ泳げるようになるためのスイミングコーチ役を」と、
古川享さんが素敵な場所に連れて行って下さいました。本当にありがたすぎます…泣
「昼スナ」という都会のオアシス
連れて行っていただいたのは、麻布十番にあるBarを木曜の昼から夕方まで借り切って開かれる、「昼スナ ひきだし」。
カウンターに座れるのは、12人のみ。ぎゅっと濃密な中で、肩書きも取り払って腹を割って語り合う、そんな都会の心のオアシスでした。
この日のママの木下紫乃さんは、このスナックの企画運営はもちろん、会社を立ち上げられて色々な企業のマネジメントトレーニングなどもやっていらっしゃる超エネルギッシュな方。
世の中の色々なものに絡め取られている人を解放したい!と熱く語られていて、もう全面的に私は共感してしまいました。
最後の1時間はママサポートを。グラス洗うくらいしかお役に立てなかったのですが楽しかった…!
人間関係の構築ができない
私は、どちらかと言うとフレンドリーな印象を持たれることが多く、人間関係の構築が苦手と言うと、「またまたー」と言われがちです。
でも変に気を遣いすぎて帰宅して倒れ込んでしまうこともしばしば。基本的に一人でいるのが好きな人間です。
そしてADHDとアダルトチルドレンの結果ですが、人との適切な距離感もわかりません。話しすぎて引かれてしまうことも多々。
一対一はまだ良くても、人数が増えると、どう他の方と時間を配分してよいのか、どこまで深く踏み込んでよいのか途端にわからなくなり、もうお手上げです。
そんな私が、大人数のパーティに行った日には、名刺を沢山交換してそこそこお話をさせていただいてもそれっきり、ということがほとんどで、人脈づくりという言葉には苦手意識しかありませんでした。
古川さんはあまり語られない
でも、昼スナでの古川さんを見ていて、気がついたことがありました。
ガジェッターの古川さんはスピーカーを持参されていたのですが、その場を楽しませるために常にタブレットで選曲をされていて、そんなに多くは話されていないのです。
たしかにお誕生会でも、一人で端に腰掛けて、楽しんでいるみなさんを静かに眺めてらっしゃる時間が多くありました。
でも、それでも有名無名関わらず、みなさんが古川さんを慕って全国から集まってこられるのです。
もちろんこれまで築かれてきた並外れたご実績があるわけですが、それだけでは語れない空気がありました。
人脈は作るものではなさそう
たぶんそれは言葉にしなくとも古川さんから発せられている、周りをエンパワーしたいという温かい想いを、周りの人が自然にキャッチしているからだと思うのです。
昼スナに同席された方の中にも、私と同じく古川さんがお誘いされていらした方がいました。
昼スナ終了後、古川さんはすぐ別のイベントに行かれていましたが、そこにも沢山の同じような方がいらっしゃったはずです。
超多忙な毎日の中で、いったい古川さんはどれだけ多くの、自信を失ったり人生に迷子になっている人たちをエンパワーされていらっしゃるのか。
すごい方なのに、ときどき少年のようにひょうきんになられるところに、密かに萌えます。
話術を駆使して人と繋がるというよりも、生き様が人を惹きつけ繋がっていく。
人脈とは、その場で「作るもの」ではなく、時間をかけた積み重ねで「出来上がっていくもの」なのかもしれないと、振り返っているうちに気がつきました。
人脈づくりには色々なスタイルがあるのだと思いますが、古川さんはADHDの先輩として、こんなスタイルがあるよと示してくださったのだと思いました。
たとえ壁の花になっても
私は、これから、
たくさんの人と知り合うのでなく、数は少なくとも、がっちりと心が結びつけられるような地道な人脈づくりをしていこう。
興味を持ってあちらから来ていただけるように、細々ながら発信をこれからも続けよう。
たとえパーティでは壁の花になったとしても、それを恥じない自分でいよう。
パーティをスイスイと泳ぐ日はなかなか来なそうですが、端っこのレーンをヨロヨロと歩きながら仲間を探していこうと思います。
ズタボロになってよかった
でも、この何日かでの気づきとこの素敵な出来事は、キリストダンナと一緒に古川さんのパーティに行っていたら得られなかったことでした。
きっと一緒だったら、なんとなくみなさまと会話して、帰宅して、という感じだったことでしょう。
でも一人で行ってズタボロになったからこそ、古川さんにコーチングをしていただき、大きな気づきが得られました。
古川さんはきっと、自分のパーティで凹んで帰った人間がいたことに、責任を感じられてしまったのだと思います。
本当に申し訳ない思いですが、結果的に私はこんな素敵な経験をさせていただき、感謝しかありません。
だからこそ、私もこれから、いただいたエンパワメントの波を微力ながら繋げていこうと思います。
こんな名札を、先日のお誕生パーティ用に夜を徹して作られていたのです。参加者150人以上の全員分…!
残念ながら当日はPCアプリの不具合で簡易版になってしまったのですが、昼スナの日にいただいたので、喜んでずっとこれをつけておりました。
素敵なパーティで自己嫌悪にまみれたのちに再確認したこと [アダルトチルドレン]
先日、日本のIT界を牽引されてきた、サム古川さんこと古川享さんのお誕生会兼生前葬にお邪魔して参りました。
生バンドの演奏も入ったおしゃれな会場には、テレビをほとんどみない私でも知っている超有名な方がゾロゾロ。様々な業界の第一人者の方ばかりでした。
ダメすぎるコミュ障な私…
しかし、私はといえば、もともとキリストダンナを通じてお知り合いになりご招待いただいたのに、その彼が出張で参加できなかったこともあり、ほとんど知り合いがいないひとりぼっち状態。
コミュ障な私は、どうしてよいかわからずオロオロし、しまいに貧血を起こして、早々とお暇させていただく情けなさ。
パーティの機会をうまく生かされる方はきっとすいすいと人脈を広げられのでしょうが、せっかく古川さんが「この人と知り合うといいよ!」と事前に教えてくださっていたのに、私は全く生かせず自己嫌悪にまみれて帰宅しました。
後ろ盾がなくなったときの自分の価値
最近、キリストダンナのツテで、古川さんをはじめ、昔なら雲の上の存在だった素敵な方々にお会いできることが増えました。
しかし、それはあくまでも、私が彼のヨメであるからこそ。
それを常々自覚はしていたものの、いざ彼という後ろ盾が無くなったときの自分の無力さは想像を遥かに超えるもので、コテンパンに打ちのめされました。
しかし、しばらく落ち込んで頭を冷やしていると、人との関係性で自分の価値を決めるという長年の悪癖に再びとらわれていたことに気がつきました。
せっかく一月のシリコンバレー合宿でこの枷を外してもらったのに、油断すると、またすぐに飲み込まれてしまいます。
人から認めてもらったり、影響力を手に入れることは、もちろん渇望するものだけれど、それは自分のやりたいことを実現するための手段であって、ゴールではないはず。
人との出会いも、有名無名ではなく、お互いの人生に心から共鳴できるものでありたい。
自分のやるべきことだけを心の中心に据えて、何があっても、人にどう思われようと、どんと構えていられるようにならねば、と心に喝を入れなおしました。
このパーティでは、せっかく古川さんにいただいた機会を私は無駄にしてしまいましたが、古川さんをお祝いしたいという思いだけは達成できたので、よしと思うことにしました。
三途の川岸から戻られて
古川さんは、一度、脳梗塞で三途の川を渡りかけています。
ぜひともこちらの講演のビデオをみなさんに一度ご覧いただきたいのですが、最後に声を詰まらせながら、「自分はみんなをエンパワーするために、この世に戻された」とおっしゃっているところには、思わず号泣しました。
昨年、アメリカの別荘に夫婦でお招きいただいたのですが、私たちのお世話のため、古川さんは滞在中ずっと杖をつきながら歩き回られていました。しかも、出発の朝には私たちよりはるかに早く起床されて、飛行機で食べるようにとスクランブルエッグ入りの美味しいマフィンまで持たせてくださいました。
私たちのために何故古川さんがそこまでやってくださるのか、その時はわかりませんでしたが、この動画を観た今ははっきりわかります。
今回のパーティも、ご自身のお誕生会だったに関わらず、参加者の皆さんに楽しんでいただくためのセッティングや、人を繋げる仕組みのために、睡眠を削ってまで作業されたようです。
全ては周りの人をエンパワーするために…!
インスパイア、そして、エンパワー
私は最近、人生のミッションを、「人を楽しくインスパイアし、エンパワーすること」としています。
もちろんこのエンパワーという言葉は、古川さんのTED講演からいただいたものです。「癒し」からもう一歩踏み出して、起爆剤を仕掛けるような言葉がないかなと探していた時にこれだ!と思った言葉でした。
実際、私が以前ADHDとわかったとブログで書いたときに、古川さんに「ボクもです。こちらの世界へようこそ!」とfacebookでコメントをいただき、少し戸惑っていた私は強力にエンパワーされました。
アダルトチルドレンやADHDを原因とした自殺衝動の暗闇から一足先に脱出できた分、今現在苦しんでいる人を解放したい、元気付けたい、最近ますます私はそう思います。
相変わらずときどきグラグラと揺れてしまう私ではありますが、そんな時は立ち止まって、きちんと地面に足をつけて、今やるべきことだけに集中して進んでいこうと思います。
ダメな自分を出したら気楽になった
最後に。以前の私だったら、貧血とはいえ素敵なパーティを這々の体で逃げ出したなんて、恥ずかしくて書けませんでした。
でも平気な顔をして取り繕って自分の中に膿を貯めるよりも、ダメなところをさらけ出して、誰かに笑ってもらったり、共感してもらった方が、気が楽になると思うようになってきました。
人づきあいが得意でない上に、あらゆることが上手く出来ず、恥を重ね続けている人生ですが、もし同じように悩んでいる方がいらしたら、こんな解決法もありますよ、と提示させていただければ幸いです。
お料理上手な古川さんが作ってくださった美味しいエッグマフィン。スターウォーズの袋入り。このお心遣いに、機内でキリストと泣きながら食べました。。
クモのペケポン
ある日私が、昔我が家を救ってくれた犬のランポコの骨壷に話しかけていたら、黒い体に白い帯の入ったクモが、テケテケとどこからか現れて、終わりまで私の話を聞いてくれた。
きっとこれはランポコの友人に違いない。その日から、その子はペケポンとなった。
ちなみにうちの犬は、蘭という美しい名が付けられていたのだが、それが「ランポコ」に変わり、しまいにメスだったのに「ポコスケ」となった。
このクモは、キリストダンナ曰く「ポコスケの友人であるからペコスケ」であるとなり、それを私が言い間違えているうちに、「ペケポン」に落ち着いた。
そうはいっても、正直にいうと私はあの姿形が苦手で、今も近くで直視することはできない。でも、ペケポンは可愛い。
戸棚の下をお散歩中のペケポン
あまり掃除が行き届いていない我が家にはどうやらご飯が豊富にあるらしく、いつもペケポンは生き生きと歩き回っている。
私がソファに腰掛けて洗濯物を畳んでいたら、横で静かに休んでいたこともある。
観察していると、ピョンと飛んだり、キョロキョロしたり、片手を上げて挨拶してくれたり、なかなかひょうきんなヤツでもある。
おともだちになった巨大グモ
そういえば、昔、クモに助けられたことがあった。
もう二十年も前のこと。美術大学の卒業制作で、日本文化をテーマにした私は、和紙で有名な福井県の今立町という小さな町に一週間滞在したことがあった。
宿泊場所は、田んぼのど真ん中の臨時教職員用の寮。周りに人家は無く、コンビニもない。
寮といっても、以前校舎として使われていたものを少しだけリフォームしてマットを敷いて寝られるようにしたもので、廊下に沿ってズラッと部屋が並んでいる。宿泊者は私一人。
町の人が夕方にここに送ってくれ、翌朝迎えにきてくれるのだが、その間、無人の校舎に完全に一人なのだ。
私は肝試し的なスポットが大の苦手である。そういうものにかなり敏感で、お化け屋敷に好んで入る人の気持ちが知れない。
それなのに、夜の校舎に一人なのだ。
iphoneもない時代、ラジオも持っていなかったし、真冬で鳴いて賑やかしてくれる虫もいない。夜は血管を血液が流れる音が聞こえそうなほど完全な静寂である。
時折廊下の奥から聞こえてくるピシッとかギシッという音に縮み上がりながら、布団の中で震えていると、目の端に黒い動くものが。
ギョッとしてみると、毛まで見えてきそうなほどの巨大なクモであった。超虫嫌いのいつもの私なら飛び上がるところだが、心のネジが飛びかけていた私には「おともだち…」と縋るような気持ちになったのだった。
そのクモは、それから一週間天井の隅を時折移動しながらじっとしていたが、私はその存在を心の支えに、無事に校舎での夜を乗り切ることが出来たのだった。
我が家のペット
ランポコを亡くしてからしばらく激しいペットロスで生活が崩壊した我が家では、もうペットは飼うまいと決意している。
でもペケポンは自立しているので別である。ご飯は自分で見つけて、散歩も勝手にしてくれる。
そもそもクモに名前をつけることは、何年か前に大きくてがっちりとしたクモが部屋を歩き回るようになったときに、キリストが当時人気のあった「フェイトーザ」という格闘家の名前をつけたのが最初であった。
最初はクモを気持ち悪いとしか思えなかったのに、名前をつけてみると、「あ、今日はこんなところにフェイトーザがいるよ」と毎日の動向をチェックしたり、「そんなところ歩いてると踏んづけちゃうから壁に登んなさいよ」など話しかけたりするようになる。
いつの間にかフェイトーザは姿を消してしまったが、ペケポンがやってきたのである。
クモは家の守り神だという。たしかにペケポンは、我が家の好ましくない虫などをむしゃむしゃ食べてくれているようだ。
私には話かけるくらいしかできないが(ペケポンには迷惑かもしれない)、いてくれる間は可愛がっていこうと思っている。