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原因となった母との関係性の変化 [アダルトチルドレン]


私がアダルトチルドレンとなる原因を作ったのは、母です。

しかし、日を追うごとに母は、私に対して気を遣ってくれるようになり、何かがズレてはいるけれど優しい「普通」の親になってきました。この正月に実家に寄って、それを再確認してきました。

この状態になりつつあったこの何年かまでは、肩透かしをくらったようでしばらく困惑していたのですが、今はありがたい幸運なこととして受け入れています。現在はこの関係性に満足し、昔の私の心境を理解してもらおうと期待をして無駄な波風を立てることも辞めたので、おしなべて平和な関係を維持しています。私は母を「赦せる」ようになったともいえます。


私が絶望の穴から出られた最も大きな原因の一つは、こうして親との関係が大きく変わったことなのは紛れもない事実ですので、今回は、以前の記事よりもう少し具体的に、一事例としてこれまでの経緯を書いておこうとおもいます。



(ちなみに、これまで母にされたことの詳細を書いていないため、最近「あなたの傷は大したことがない」とある人に断定されてしまいました。しかし私が長い間苦しんだのは事実ですし、以前書いたように、人と傷の深さを競い会うのは限りなく不毛なことだと思っています。この件については、また別の機会にもう少し突っ込んで書こうと思っています)



アマゾネスのような激しい気性の女系家族に育った母のキャラクターは、だいぶ変わっていると思います。また、距離感の取り方も何かおかしく、昔は、近くにいると境界線を踏み倒して徹底的に支配しようとする傾向がありました。しかし逆に距離があくと、驚くほどドライに興味の範囲外となるようなのです。


私は就職して間も無く、両親の反対を押し切って家を出ました。まずこれが、関係性変化の第一段階となりました。

しかし物理的に距離をとってひとときの心の平安を手に入れたものの、私自身もまだ母との心の距離をうまくとれず、時々攻撃を受けては深手を負っていました。まだ私にとっての母は、「怒らせると私を破壊する恐ろしい存在」でした。


そして29歳のときに、私は結婚をしました。これが2段階です。

実家から戸籍上も出たにも関わらず、母から見れば名前が変わって住むところが変わったぐらいの認識だったようで、私は相変わらず支配下に置かれていました。しかし、あるとき義実家に迷惑をかけてしまったこともあり、私は勇気を振り絞って母に手紙で思いを綴ることにしました。「自分は別の家庭に入った人間であること、母を排除する訳ではないが、別の人生を歩んでいることをわかってほしい」、と。


こう書いたものの、これまでがこれまでだけに、わかってもらえるとは正直露ほど期待していませんでした。逆に「何を言っているの!」と反撃されることを、私は極度に恐れていました。しかし、今回ばかりは違ったのです。


これ以降、母は人が変わったように私を尊重してくれるようになりました。また、それまでは私の都合などおかまいなしに大量に架かってきていた電話もパタリと止み、架けてきた時には「今大丈夫?」と必ず確認をしてくれるようになりました。さらに、色々なことを気にかけて、サポートもしてくれるようになりました。


そしてこの頃から、私は拒否権を行使することができるようになり、母はもはや私にとって恐ろしい存在ではなくなりました。

この二つの段階を踏んで、私は母の支配下から抜け、対等の地位を獲得したと考えているのですが、正直なところ、何が母に作用したのかはわかりません。ただ、20年ほどかけて関係性は完全に望ましい方へ変化したのは確かです。



ただ時々、この状態に私は困惑します。現在の母をみていると、私が自殺を考えるほどに受けた悲惨な日々は、知人に言われたように、私の勘違いだったのではないかと。そうすると、この遠回りした20年を私は無駄に大騒ぎして過ごしてしまったのではないかと、絶望的な気持ちにもなります。


しかし、冷静に過去の記憶を辿ると、決してそうではありませんでした。母の人間性と関係性が大きく変わっただけで、実際には確かにありました。忘却の力は、トラウマを癒してくれる有難いものですが、錯覚も起こしてくれます。


こう堂々巡りをしないためにも、もしかしたらあのまま憎む対象で居続けてくれた方が、いっそのこと気が楽だったのにと思ったりもしますが、本来こうして親子関係が改善するのは歓迎すべきことです。なので最近は、昔の母とは別の人間なのだと思うことにしています。今の母には憎しみはありませんし、むしろ愛情を感じています。



最近、ある披露宴に出たのですが、最後の新婦の「母への手紙」のコーナーで、驚くとともにその勇気に敬服したという出来事がありました。新婦は、その明るくポジティブな人柄で皆から愛されている人だったのですが、両親の事情によって人生を翻弄され大変な苦労をしてきていました。私は「自分が彼女だったら親に感謝の念なんて述べられないなあ」とぼんやり考えていたのですが、彼女は、


あなたたちから生まれきてよかったとは、思っていません。でも、お母さんが大好きです。」と。


この衝撃的な一言で会場はどよめきました。しかし、彼女の母親に対する、矛盾を乗り越えた迷いのないこの言葉に、私は「こういう受け止め方も出来るんだ」と衝撃を受けました。



昔の、憎しみにまみれ地獄のど真ん中にいた私だったら、こんな風に親を赦せる日が来るなんて想像も出来ませんでした。親との関係に苦しんでいる方、苦しんでいた方に、今回の投稿が何かの参考になったらいいなと思っています。


 



タグ: 関係性
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あさこ

澤円さんのFacebookから飛んできました。通りすがりの者ですが、私も同じような関係でとても勇気が出ました。ありがとうございます。
by あさこ (2018-01-06 15:13) 

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