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すべての1ミリに全力で愛をこめること [制作中]

先日、審美眼に信頼を寄せている友人のデザイナーさんから、ある作品のダメ出しを受けました。

「よくないですねえ。心もこもっていないように見えますし」と。確かに、気分良く調子に乗って作ってしまっていたのが、彼にはすべてお見通しのようでした。逆に四苦八苦してやっと少し形になってきた制作途中のものを見せると、「これはいいですね 」と。

 

そして今日、「楽しく気分良く作るのは駄目なんだろうか」と悶々とアトリエでやすりがけ作業をしていたら、何が彼にそう思わせたのか徐々に見えてきました。 例えば ドとレの間に無限の音階が存在するように、何もないと見えるところにも必然的な凹凸が無限にあって、でも私は深く考えずドとレのような目立つ部分しか意識していなかったと。最近、女性の足を作っていたのですが、膝とふくらはぎの間には筋肉でなだらかにつながった部分があり、そこをアリンコのようなミクロの目でこだわって作り込むことこそが大事なのだと、今更ながら目が覚めました。

 

IMG_1744_small2.jpg 

そしてそれは、作品を全力で愛して作ることにほかならず、ある一部分の1ミリを作ったら、その隣の1ミリ、さらにその隣の1ミリ、そうしてすべての1ミリを全力で愛してあげて初めて、いい作品が生まれるのだと。同時に、愛のない1ミリが全てを台無しにしてしまう恐ろしさにも気が付きました。

そして、その愛ある1ミリのすべてがうまくつながると、単なる粘土が突然筋肉になり、爪になり、肌になり、命を持ち始めて、それはそれは魔法のような素敵な瞬間だったりします。 四苦八苦した作品は、削りすぎては粘土を足してということを何度も繰り返すうちに、手探りでそこかしこに愛がふり積もっていったのかもしれません。

 

 たぶんこれがきっと、「趣味で作る」ことと「プロの仕事」との違いなのでしょうね。ものを作る人なら誰でも意識しているようなことに気が付くのがだいぶ遅れてしまいましたが、その分をこれから作る作品で取り戻していこうと思います。

 

…そんなことをぐるぐると考えながら、最近は顔や手や足などのパーツを作っています。一番手前のものが、膝下がようやく形になってきた「肥えた婦人の足」です。今まで当たり前のように作ってきた人間の形の比率を変えたくて、形に組み上げるのはある程度数が揃ってからにするつもりです。

 

すべての1ミリに愛をこめて。

 


タグ:石膏粘土
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sawakyo

素晴らしい!素晴らしいブログ。
感じ入りました。
なおちゃん、マジで作品展が楽しみで仕方ないです。
今までの作品と、また違ったものが生み出されるのかしら。
(私は今までのも大好きだけど)
なおちゃんの愛情が降り積もった作品たちに早く会いたいです。

by sawakyo (2012-11-24 19:25) 

sawanao

きょんちゃん、ありがとうございます〜!全身全霊でやらないと、いいものが作れないということを最近痛感しています。
個展に加えて来年二月と六月頃にグループ展へも参加することになりそうで、来年は死にそうに忙しいですが自分にプレッシャーかけて頑張ろうと思います〜\(^o^)/
by sawanao (2012-11-25 06:14) 

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